
前回の記事では、顔や髪型をほとんど指定せずに30代の日本人女性・男性を生成し、AI任せにするとどのくらい似た人物へ寄るのかを確認しました。
結果はかなり分かりやすいもので、女性も男性も、別々に生成したはずなのに「同じ系統の顔」にかなり収束しました。
では、私が作った人物構成用のテンプレートとライブラリ群を使った場合はどうなるのか。
生成した20代女性と30代女性の顔を実際に並べながら、顔パーツを細かく構成してランダム化することで、人物の顔をどこまで作り分けられているのかを見てみます。
AI任せではなく、先に人物の構成を決める
前回の実験では、顔型、目、眉、鼻、口、髪型などをほとんど指定しませんでした。
すると、↓こんな感じの、王道の美女・イケメンが生成されるんですよねー。
いや、それはそれでいいんだけど…その美女・イケメンが判を押したように似ている人物ばかり生成されてしまう。

今回は逆に、画像を生成する前の段階で人物の特徴をある程度決めています。
顔の輪郭、目、まぶた、眉、鼻、口など、それぞれについて候補(目の形とか口の大きさ、どんなメイクなのか)を用意したライブラリを作り、その中から組み合わせを選びます。
自分で毎回好きなものを選ぶのではなく、ランダム性を入れることで、自分の好みにもAIの好みにも寄りすぎないようにしています。
その抽選結果を人物用のテンプレートへ反映し、最終的な指示書を作って画像生成AIへ渡します。
つまり、画像生成AIに「どんな人にする?」と丸投げするのではなく、こちらで人物の設計図をある程度作ってから、AIにはその人物を描いてもらうという考え方です。
まずは30代女性の生成結果
こちらが、現在のテンプレートとライブラリ群を使って生成した30代女性の一例です。

最初の印象は、おっイケるやん! 結構、差別化できてんじゃないか?って感想。
「30代の日本人女性」とだけ指定した生成結果と比べると、顔の印象にはかなり差が出てるのでは。
輪郭の形、目の大きさや形、まぶた、眉、鼻、口元などが違うため、髪型だけを変えた同一人物という印象はかなり弱くなりました。
髪型や髪色にも違いがあるので、顔だけでなく人物全体の第一印象にも差が出ています。
前回のように「五つ子ですか?」という状態からは、かなり離れられたかなって。
一方で、完全にバラバラになったわけではありません。
画像生成AIそのものが持っている「整った顔へ寄せる力」は残っているので、全体的に見れば、まだ美人寄りの人物が多くなっています。
顔パーツをランダム化したからといって、AI側の傾向そのものが消えるわけではない、ということです。
あと生成AIって年齢を指定しても結構若い見た目で作るんですよね。
ま、今どきの30代は若い見た目の人いるからなぁ…。完全にNGってわけではないですが。
20代女性でも同じ方法を使っている
20代女性についても、基本的には同じ考え方で人物を作っています。

こっちも「おー、20代っぽさが出てるんじゃねーか!? しかも、それぞれ別人に見える」ってのが最初の印象。
↑上の30代女性と比べると若さが表現できているなって。
ここで重要なのは、「20代らしい顔」「30代らしい顔」という一種類の正解を作りたいわけではないということ。
現実でも、同じ年代の人が全員同じタイプの顔をしているわけではないですし。
年代は人物を構成する条件のひとつにすぎず、その中にいろいろな顔立ちや雰囲気の人物がいる状態を作りたいと考えています。
顔タイプだけを変えていた頃より差は出るようになった
以前は、顔を細かいパーツまで分けず、「丸顔」「面長」「クール系」「柔らかい印象」といった大きな顔タイプを選ぶ方法を使っていました。
この方法でも多少の違いは出ます。
ただ、顔タイプだけでは指定していない部分がかなり残ります。
その部分を画像生成AIが補完すると、結局は目、鼻、口などが似た「いつもの美人顔」へ戻ってしまうことがありました。
そこで現在は、顔タイプという大きな分類だけではなく、その内部にあるパーツまで分解しています。
輪郭が違う。
目が違う。
まぶたが違う。
眉が違う。
鼻が違う。
口が違う。
こうした小さな差を積み重ねることで、最終的な人物の印象にも差を出そうとしています。
ランダム化の目的は「変な顔を作ること」ではない
顔パーツをランダムにすると聞くと、極端な組み合わせや、わざと不自然な顔を作ろうとしているように聞こえるかもしれません。
が、目的はそこでは無い。
作りたいのは、現実にいそうな人物の幅。コレ。
一目見ただけで誰もが美人だと感じる人物もいれば、最初は特に意識しなかったのに、見ているうちに魅力を感じる人物もいる。
かわいい系、きれい系、クール系といった分かりやすい分類に収まらない人もいます。
そうした幅を作るために、AIが自動的に選びやすい「安全な顔」から少しずつ外していく。
そのための手段としてランダム化を使っています。

ランダム化しても、まだ美人寄りにはなる
ここまでの生成結果を見ると、AI任せのときより人物差は明らかに出ています。
ただし、課題もあります。
顔パーツをこちらで指定しても、最終的に描くのは画像生成AIです。
そのため、違うパーツを指定しているはずなのに、AI側で少し整えられて似た方向へ戻ることがあります。
特に目、鼻、肌、顔全体のバランスなどは、画像生成AIが持っている「見栄えよく描く力」の影響を受けやすいと感じています。
今回掲載している人物も、それぞれ違いはありますが、全体的にはかなり整った顔立ちです。
つまり、顔パーツのランダム化によって人物差は広がったが、「美形への収束」を完全に消せたわけではないというのが現状です。
ライブラリそのものも改良していく
人物の幅をさらに広げるには、ランダム抽選の仕組みだけでは足りません。
そもそも候補として用意しているライブラリの中身に幅がなければ、何回抽選しても似た結果しか出ません。
逆に、違いを出すことだけを優先して極端な候補ばかり入れてしまうと、今度は不自然な人物が増えてしまいます。
どのくらいの違いを候補として持たせるのか。
画像生成AIが安定して再現できる特徴は何なのか。
似た候補が重複していないか。
実際に生成しながら、こうした点を確認してライブラリそのものを少しずつ改良しています。
テンプレートもライブラリも、一度作って終わりではありません。
生成結果を見て問題を見つけ、その問題を次のバージョンで修正する。
今のところ、この繰り返しで人物構成の仕組みを作っています。

AI任せよりは、かなり人物の幅を広げられた
今回の20代女性・30代女性を見る限り、顔パーツを細かく構成し、ライブラリから組み合わせる方法によって、AI任せの生成よりも人物差はかなり作れるようになりました。
まだ美人寄りに補正される傾向は残っていますし、似た顔が完全になくなったわけでもありません。
それでも、「年齢と性別だけ指定して、あとはAIにお任せ」という状態に比べれば、こちらから人物像をコントロールできる範囲はかなり広がっています。
そして、その土台になっているのが顔パーツのライブラリです。
次は、実際に人物構成で使っている顔パーツライブラリをどのような考え方で作っているのか、もう少し中身を掘り下げてみたいと思います。
